共働き家庭にとって、小学校入学は大き目節目。保育園のあとの受け皿として学童を考えているかと思います。「学童」での時間が楽しく過ごせるかどうかは、小1の壁の中でも結構重要度は高いです。 毎年12月頃に入会申請の時ですので、その前には一度見学するのもおすすめです。
今回は、学童保育の種類や特徴、料金の目安についてご紹介します。
公立の学童保育は料金が比較的安いですが、場合によっては利用できない可能性があるのがデメリットです。民間学童は料金が割高になりますが、施設によっては学びの場として利用できるのがポイントといえます。
学童の種類
「学童」とは正式には学童保育といい、放課後児童クラブや児童クラブともいいます。
学童といっても、設置と運営方法が様々です。大きく分けて考えると、学童は以下の3つに分類が可能です。市区町村などが設置している公立設置が8割を占めますが、運営自体は7割が民営です。

- 設置も運営も公立の公設公営
- 設置は公立で、運営は民間の公設民営
- 設置も運営も民間の民設民営
公立の学童保育
公立の学童保育の多くは学校の敷地内や、児童館などの公的施設内に設置されています。
公立の学童保育には、運営を民間に委託している「公設民営」の学童も含まれています。
公設であれば、公営・民営問わず、基本的にシステムは似ているところも多いです。
公営の場合は、公立認可保育園のように、職員の先生方は自治体職員(公務員)の人が含まれます。 ベテランの先生が多く、子どもへの接し方も保護者への対応も心得ていて信頼感は高いと思われますが、個別の要望などは運営上融通がききにくい場合もあるようです。 また、民営化が計画されている場合、先生の入れ替わりで子どもたちの混乱を招く可能性もあります。
わが子の学童は利用途中で、運営が公営から民営に切り替わりましたが、費用やシステムに大きな変更はありませんでした。先生は全員ではありせんが何人か変更になりました。
料金について
自治体や施設によって差はありますが、月額で4,000円~10,000円程度かかります。
公設の学童は自治体より補助金が出ているため、家庭負担の費用が抑えられます。
全体の約47%が4,000円以上8,000円未満の利用料となっています。
厚生労働省の「令和元年(2019 年) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」によれば、全国の放課後児童クラブ(学童保育)の月額利用料として、以下のような数字が出ています。
・おやつ代等のみ・・・5.7%
・2,000~4,000円未満・・・17.5%
・4,000~6,000円未満・・・27.3%
・6,000~8,000円未満・・・20.1%
・8,000~10,000円未満・・・13.1%
・10,000~12,000円未満・・・7.9%
参考:厚生労働省 放課後児童クラブ関係資料
わが子の学童では、8月のみ費用負担金が4000円増額となります。
利用できる時間
平日はおおむね18時~18時半まで利用できます。おおむね17時以降は延長保育などで別途費用がかかります。
19時までの延長保育を実施している施設もありますが、まだ全国的ではありません。
土曜や長期休みには9時から18時~18時半ごろまで利用可能です。朝は延長保育で8時から実施している施設もあります。
利用料の減免が受けられることも
公立の学童保育の約80%は、一定の条件に当てはまる場合に利用料の減免を行っています。
生活保護受給世帯、ひとり親世帯、兄弟姉妹利用世帯などが該当し、利用料の半額から全額を免除する仕組みを取っているケースが多いです。
利用できない可能性もある
公立の学童保育は、入所基準が設けられています。
基本的に共働き家庭でないと利用できず、勤務日数や時間の条件を定めている自治体や施設もあります。
認可保育園と同様、就労以外でも疾病や障害・介護などでの入所も可能ですが、それぞれ規定があり申請書類等も必要となります。
加えて、施設に空きがない場合は、条件を満たしていても利用できません。
待機児童は全国で約18,000人となっており、公立の学童だけでは対応しきれていないのが現状です。
2015年に児童福祉法が改正されて以降、小学4年から6年の児童の利用も増えつつあります。
ただ、小学3年までの児童の受け入れが優先されやすく、4年生以上の児童が入れないケースがあるのが現状です。
我が家の場合、保育園の場合は育休中であっても翌年年度末まで在籍できますが、学童の場合は育休中は退会になりました。
カリキュラム
勉強、おやつ、遊ぶ、終わりの会などが時間割りで決められています。
指導員が指導したり、カリキュラムを実施するというよりは、子どもたちが自主的に過ごしており、指導員が見守るという運営形態となっています。
運動場や体育館などの施設を使ってドッチボールや遊具を使った遊びが可能な場合が多いです。学童から学校内で実施される地元クラブなどによる習い事へ行く児童もいます。
わが子の学童では、月に一度のお誕生日会や、七夕会、クリスマス会、長期休暇中はDVDでの映画観賞会などのイベントはありました。
学校給食がない日はお弁当持参ですが、学童でお弁当を頼める日もあります。
公立の学童保育の特徴
費用が安く済むため、家計には優しいです。
また、学校近くに設置されているため、同じ学校の友達と遊べますし、子どもが学童保育に向かうまでの心配が少なくて済みます。学童の標準時間後に一斉下校がある場合もあります。
自由に過ごすことが好きな子、外でたっぷり遊びたい子などに向いています。
デメリットは、施設を利用できない可能性があることと、子どもへの個別のフォローが少ない点です。
大人数の子どもを少数の指導員が見守る形なので、どうしても目が行き届きにくい形となります。
公立学童は待機児童の要望に応えるべく受け入れ人数を増員が行われています。一方で詰め込みで環境がよくないという課題はあり、厚生労働省の基準により指導員の研修や質を上げる工夫はしている。国が「遊びと生活の場」と定めており、もともとは「勉強をしたり」「何かを高める場」という機能はあまり期待できません。
宿題も個別の指導を受けられないため、家に帰ってから宿題に取り組む子どももおり、保護者のフォローが必要です。
放課後子ども教室
放課後子ども教室は、放課後や週末に小学校の教室を活用し、学習活動や地域の人との交流活動を行う場所として設置されています。
また、子どもの安全な居場所を設けるという側面をもっています。
料金について
基本的に、無料で利用可能です。
登録時の保険料や、おやつや工作費用などの実費負担は発生します。
預けられる時間
平日は17時前後まで、長期休みには4~6時間程度開催されています。
子ども教室によって異なりますが、週1~2日の開催が多いのが現状です。
放課後子供教室の特徴
基本的に無料で利用でき、学童保育と違って誰でも利用可能です。
ただ、17時前後までしか対応しておらず、毎日開催されていないため、放課後子供教室のみに頼るのは難しいといえます。
宿題は子どもの自主性に任されているため、家庭でのフォローが必要です。
また、放課後子ども教室の指導員はボランティアで参加しています。規模の拡大や内容の充実は難しい側面もあります。
民間学童
民間学童は、企業が設立して運営を行っています。民間学童や放課後プリスクールなどと呼ばれています。「学習塾や習い事スクールの延長線のようなもので、厳密には国の制度としての【放課後児童クラブ】ではないことが多く見受けられます。 預かり時間やプログラムが充実していることも多く、その分、利用料金が高額になることが多いようです。
首都圏や都市部に多く設置されています。
料金について
施設によってばらつきはありますが、月額4~8万円前後の費用がかかるケースが多いです。民間機関が補助を受けずに運営しているため、費用が高額になることが多いです。
基本利用料とは別に、サービス内容により追加費用が設定されるケースが多いです。
預けられる時間
多くの民間学童で延長保育が実施されており、施設によっては21時すぎまで対応しています。追加料金で夕食を提供している施設もあります。
祝日や日曜も対応している施設もあり、多忙な家庭のニーズに応えているのが特徴です。
学習習慣が身に付きやすい
民間学童では勉強の時間が設定されており、スタッフも多いため、宿題のフォローを任せられます。
また、塾や習い事の役割を担っている民間学童が多く、手厚い学習サポートや教育プログラムを受けられるのがポイントです。英語・運動・音楽教育など、施設ごとに特色あるカリキュラムを実施しており、さまざまな学びを体験できます。 提携先のスイミングスクールなどに送迎を実施する施設もあります。
一方で、外遊びができるグラウンドなどの施設が併設されていないことが多いです。
民間学童の特徴
費用は公立の学童と比べると高くなりますが、その分受けられるサービスが充実しています。
公立学童は子どもの居場所を確保するという意味合いが強く、見守りが基本のスタンスです。
一方、民間学童の多くは教育に力を入れ、子ども一人ひとりをフォローしているため、学びの場として学童を利用したい場合に適しています。
「せっかく預けるのであれば、その時間を使って子どもの能力を育てたい」と、習い事教室や塾に通わせる感覚で、民間の学童を選んでもいいかもしれません。
サービスは多種多様で、自宅や他の習い事まで送ってくれる送迎サービスや、夜遅くまでの延長時に夕飯や入浴ができるオプションなどを用意している施設もあります。
1年生から6年生まで利用できる施設が多く、入所基準は特にありません。
夏休みだけの受け入れに対応している民間学童もあり、子どもの生活リズムの乱れを防ぐために、休み期間だけ利用するという手もあります。
無料体験を実施している民間学童が多いため、利用を検討している方は一度体験入学をしてみるのがおすすめです。
民間学童の選び方と注意点
民間と公立では様々な違いがあります。民間の学童がある場合はどういった点を注意して選べばいいのでしょうか。
働き方に見合った開所時間になっているか
開所時間と言うと「平日の夜、何時までやっているか?」気になりますが、意外と大切な下記の時間もしっかりと確認したいものです。
- 土曜日と日曜日・祝日の利用可否
- 土・日・祝の開所時間(朝何時から何時までか)
- 学校休校日(夏休みなどの長期休暇・体育大会などの代休)の朝何時から開いているか
- お盆や年末年始の利用可否
- 悪天候による警報やインフルエンザ等の学級閉鎖時の利用について
「お迎え」についても、どのような方法が指定されているのか、車での送迎が可能かなども併せてチェックしたいです。
施設の充実度
厚生労働省の資料によれば、学校以外の場所として、以下のような施設が学童として利用されていると分かります。
・児童館・児童センター・・・9.7%
・公的施設利用・・・6.2%
・民家・アパート・・・6.0%
・保育所・・・3.1%
・公有地専用施設・・・7.4%
・民有地専用施設・・・6.0%
・幼稚園・・・1.1%
・団地集会室・・・0.4%
・商店街空き店舗・・・2.6%
・認定こども園・・・1.8%
親から見れば十分な広さや設備が整っているとは思えない場所もあるはずです。外遊びを楽しむ場所がない施設も、もちろんあります。
きちんと見学会や説明会などに参加して、施設の雰囲気や広さ、安全性などをチェックしたいです。
正規職員の数と有資格者の数
子どもたちとの信頼関係(帰属感や安心感)を深めるためには、同じ指導員が毎日、安定して勤務してくれる体制が望ましいです。その理想を実現するために、指導員の資格(放課後児童支援員)と配置基準が定められ、処遇改善や常勤配置のための国の補助金制度も設けられています。
預かる子どもの数に対して、十分な数の職員(有資格者)が配置されているかどうかも、チェックのポイントになります。
指導員の勤務体制、常勤職員の数、登録児童の数に対する配置職員の数、準国家資格である放課後児童支援員の有資格者の数などを、見学会や説明会でしっかりと聞いてきたいです。
どのようなプログラムとサービスがあるのか?
民間学童の場合は、習い事教室や塾のような機能を兼ね備えた場所も多いです。そうした側面を評価して選ぶ場合は、何をどこで幾らで学べるのか、事前にしっかり確認しておきたいですね。
その他にも、送迎のサービス、給食(お弁当)の有無など、民間ならではのサービスの部分にもついても調べておきましょう。
まとめ
都市部では民間学童が充実している反面、選ぶのが難しいケースもあるでしょう。
一方、郊外へいくと民間学童の選択肢すらない場合も多いでしょう。民間学童がなくても、送迎バスなどのある習い事や学校内の習い事と併用して、公立学童で過ごすことも考えられます。
公立学童では、週〇回以上の利用が必要など制限を設けている施設もあります。併用を検討する際は、事前に確認してみてくださいね。
放課後や長期休暇が楽しく過ごせる学童がみつかりますように。



